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ゴキブリってどんな生き物?「敵を知り、己を知ればG戦危うからず」

ゴキブリってどんな生き物?

ゴキブリは約3億年前から地球上に生息している

ゴキブリは約3億年前から地球上に生息している、とても古い種類の昆虫です。世界には約3500種類のゴキブリが知られていますが、その多くは熱帯や亜熱帯の暖かい地域に生息しています。

日本で見られるゴキブリは約50種類で、特に暖かい沖縄や南西諸島に多くの種類が生息しています。一方、北海道のような寒い地域では、生息できるゴキブリの種類は限られています。

 

ゴキブリが害虫として問題になる理由

貿易で運ばれたゴキブリのイメージ

ゴキブリ全体のうちの約1%が、私たち人間にとって不快な害虫として扱われています。これらのゴキブリは、古くから船などに乗って世界中に広がり、現在では世界中で問題となっています。

日本では、江戸時代からゴキブリが家の中に住みついていた記録がありますが、本格的に問題視されるようになったのは、1950年代頃からで、経済成長に伴い、家の中が暖かくなり、食べ物も豊富になったことが原因と考えられています。

 

ゴキブリがもたらす害

 

ゴキブリが人間にもたらす害は、大きく分けて以下の通りです。

  • 不快感: ゴキブリの姿や動きは、多くの人にとって不快で気持ち悪いです。
  • 衛生問題: ゴキブリは、様々な病原菌を体につけたり、糞や嘔吐物で汚染したりするため、食中毒などの原因となることがあります。
  • アレルギー: ゴキブリの死骸やフンは、アレルギーの原因となることがあります。
  • 物的被害: ゴキブリは、食品だけでなく、本や電化製品などをかじって、損傷させることがあります。

 

動物が原因で出火した火災事例について、東京消防庁予防部調査課も資料をまとめています。

 

https://www.isad.or.jp/pdf/information_provision/information_provision/no58/60p.pdf

 

ネズミやゴキブリ・クモは比較的身近にいる生物の為、人によってはあまりその危険性を感じていないようですが
実はとても危険です。

 

 

形態と機能

出典:日本ペストコントロール協会
クロゴキブリ:側面
出典:日本ペストコントロール協会
クロゴキブリ:側面

 

ゴキブリの体は平らくてドーム型をしていて、上から見ると頭の部分が前胸背板と呼ばれる部分に隠れて、ほとんど見えません。

頭の左右には複眼があり、触角はたくさんの節からなり、鞭のように長く伸びていて、周囲の状況を感じ取る大切な器官です。

口は、固いものを噛み砕くのに適した構造をしています。

体は、前胸、中胸、後胸の3つの部分に分かれていて、成虫の中胸と後胸の部分にはそれぞれ1対の羽があります。

前の羽はやや厚く、後ろの羽は薄くて内側が折りたたまれています。暑い夏には飛ぶこともありますが、長距離を飛ぶことはできません。

脚はよく発達していて、3対の脚はどれもほぼ同じ形をしていて、素早く走るのに適しています。

脚の付け根の部分は大きく、左右がくっつくように配置されています。

腿の部分と脛の部分にはトゲのようなものがたくさん生えていて、足の裏の部分は滑らかな面を歩くのに適した構造をしています。

腹部の最後尾の部分には、上生殖板と下生殖板と呼ばれる部分があり、この部分の形によってオスとメス、そして種類を見分けることができます。

また、尾の先端には1対の尾肢があり、たくさんの感覚毛が生えていて、空気中の振動も感じることができます。

オスの下生殖板には、1対の尾突起と呼ばれる突起があります。

 

国内の重要害虫種

主要種

ゴキブリ科 ゴキブリ属

①クロゴキブリ

成虫の体長30〜38mm、全体に光沢がある黑褐色、翅は雌雄とも尾端をわずかに越す。
。若齢時は体長4.5mm、全体黒褐色で、触角先端、中胸背面、第2腹節両端が白色。
。中齢から成熟幼虫期は全体赤褐色となる。一般住宅に多いが、ビルや飲食店などにも
にも生息する。関東から九州までに土着するが、家屋の保温性向上などにより
現在は北海道まで普遍的に生息する。国外では北米南部、中国南部に分布する。

出典:日本ペストコントロール協会
クロゴキブリ:斜上から
出典:日本ペストコントロール協会
クロゴキブリ:斜上から

②ヤマトゴキブリ

日本土着で、北海道、東北、北陸、関東
に生息し、近畿中国地方が分布の南限であ
る。韓国、中国にも分布する。都市郊外、
農村地域の家屋に多く、屋内外にまたがっ
て生活する。冬期は屋外で休眠越冬する。
雄成虫は濃茶褐色で前種に似るが、体長18〜30mの中型、体形が細長で翅の光沢が少なく、前胸背板に凹凸が
あるなどで区別できる。雌は翅長が腹部半ばしかなく短翅型。幼虫は若齢から成熟
まで全体濃茶褐色、胸部側縁が淡黄褐色、腹面中央部も淡黄褐色で、赤
クロゴキブリとの区別は容易である。

出典:日本ペストコントロール協会
ヤマトゴキブリ:卵鞘をつけて喫食中
出典:日本ペストコントロール協会
ヤマトゴキブリ:卵鞘をつけて喫食中

③ワモンゴキブリ

体長35〜45mm、わが国では害虫種の中
で最も大型、全体が栗色で前胸背板に淡黄
褐色の環状紋がある。雄は翅が
腹端よりやや長いが、雌では腹端と同程度。
幼虫は茶褐色で、若齢時は淡色であるが、
成長にしたがい色が濃くなり、前胸背の環
状紋も成熟すると輪郭が明確となる。熱带、亜熱带地方に生息し、現在は世界中に
分布する。20℃が活動、増殖の限界であるため、国内では九州南岸地域から奄美
笠原、南西諸島には土着し、この地では主要害虫である。近年、全国大都市のビル、地下街などに点在的にみられる。

また、大型下水道廃棄物処分場、温泉の源泉周辺などに生息事例が有る。

出典:日本ペストコントロール協会
ワモンゴキブリ(左)とクロゴキブリ(右)
出典:日本ペストコントロール協会
ワモンゴキブリ(左)とクロゴキブリ(右)

 

④トビイロゴキブリ

体長30〜38mm、全体茶褐色で前種に似るが、前胸背の斑紋の輪郭が不明瞭、ず
んぐりした体形などで区別できる。大きさと体形はクロゴキブリによく似ている。
若齢幼虫もクロゴキブリに似るが、腹部背面中央部が淡褐色なので見分けられる。
成熟幼虫は茶褐色となり前胸背環状紋も輪郭が不明瞭であるが、第2〜5腹節の両
側縁に一つずつ黄褐色紋を有することで、他種幼虫と区別できる。日本では1960
年に発見された熱帯系の種類で世界的な害虫である。小笠原、奄美、南酒
生息する。名古屋、大阪、福岡、東京など大都市の地下飲食街での生息
ている。単為生殖も行う。

出典:日本ペストコントロール協会
トビイロゴキブリ:幼虫
出典:日本ペストコントロール協会
トビイロゴキブリ:幼虫

 

チャバネゴキブリ科 チャバネゴキブリ属

①チャバネゴキブリ

体長15〜20mの小型種、体は淡黄褐色
で前胸背板に一対の黒条紋がある。翅は透
明がかった淡褐色。雄は体が細長であるが
雌は体幅が広く丸みがある。若齢幼虫は全体黒色で、中、後胸背板と側縁
部が淡黄褐色であるが、成長する途中、後胸背板中央に一本の幅広い淡黄褐色の条紋が現れる。世界各地に最も広く分布する
重要な害虫種である。熱帯原産で、国内では小笠原や南西諸島で土着可能である。
生息性が強く全国のビルや飲食店などに多く生息し、年間を通じてお
めに難防除害虫となっている。

チャバネゴキブリ:ベイト剤を喫食中の幼虫
チャバネゴキブリ:ベイト剤を喫食中の幼虫

 

生態

変態

ゴキブリの幼虫は成虫と体形が似ていて、脱皮を繰り返すたびに成長します。幼虫は、脱皮や羽化直前まで活動していて、そのまま物陰などで静止すると、胸部背面の中央が縦に裂け、中から新しい体が現れ、古い皮を脱いで脱皮を完了します。脱皮直後の体は柔らかく白色ですが、数時間すると体形も整い、色がつき始めます。このとき、幼虫は自分の脱いだ皮を食べてしまうのです。翌朝には、本来の色となり、皮も硬くなります。ゴキブリは、このように何度も脱皮を繰り返し、蛹の段階を経ずに成虫になるため、不完全変態と呼ばれています。成虫と幼虫は、同じ場所で生活し、同じものを食べます。

出典:日本ペストコントロール協会
チャバネゴキブリ:脱皮中
出典:日本ペストコントロール協会
チャバネゴキブリ:脱皮中

 

食性

野外に生息するゴキブリの多くは、森林内の腐食した有機物を餌としています。一方、屋内に住むゴキブリは雑食性で、植物質、動物質、腐敗物など、あらゆるものを食べます。他の昆虫を捕食したり、仲間同士で食べ合うこともありませんが、脱皮の際には、まれに他の個体に食べられてしまうことがあります。

人間の食べ残しや、調理の際に出たゴミ、さらには壁紙や本の表紙、汚物まで、ゴキブリはなんでも食べてしまいます。ジャガイモや玉ねぎ、バナナの皮など、好物と言われるものはたくさんありますが、絶対的な好物ははっきりとは分かっていません。さまざまな種類の食べ物を用意して実験を行ったところ、ゴキブリは米ぬかとヒエを最も好んで食べるという結果が出ました。

現在、ゴキブリの駆除には、ベイト剤(毒餌)がよく使われています。ベイト剤の開発にあたっては、ゴキブリがどのような物質に引きつけられ、どのような順番で食べ物を食べるのか、といった研究が進められています。実験の結果、ゴキブリは麦芽糖、アラビノース、ソルビトール、果糖、蔗糖などの糖類に強く引きつけられ、これらの物質によって摂食行動が誘発されることが分かっています。また、カブロン酸、カプリル酸などの脂溶性物質も、ゴキブリを誘引する効果があることが確認されています。

さらに、飼育実験では、ゴキブリは与えられた餌の種類によって、好んで食べるものが変わるということが分かっています。例えば、米ぬかを与えていたところへ乾燥肉を置くと、ゴキブリは乾燥肉を好んで食べるようになるのです。このように、ゴキブリは新しい餌を見つけると、すぐにその餌を食べるようになるという特徴があります。また、複数の種類の餌が同時にある場合、ゴキブリはより多くの量を食べることが分かっています。

 

日周活動

ゴキブリは夜行性で、昼間は狭い隙間や物陰に隠れて過ごします。日が暮れると活動を始め、特に夜のはじめごろが最も活発です。夜中になると少し落ち着きますが、明け方近くまで活動していることもあります。そして、朝になると再び隠れ場所に戻ります。

建物の中では、厨房や飲食店の調理場、そして家庭の水回りなど、暖かい場所で、餌や水に近く、人があまり出入りしないような暗い場所を好みます。このような場所で、集団で生活していることが多く見られます。

チャバネゴキブリの行動を観察した実験によると、隠れ場所には成虫と幼虫が混在していることが分かりました。夜になると、隠れ場所から出てきて、餌を探したり、交尾をしたりと活発に動き回ります。特に雄の成虫と幼虫はよく動き回ります。幼虫は小さいうちは集団で行動することが多いですが、成長するにつれて、それぞれが単独で行動するようになります。一方、卵を持っている雌の成虫は、あまり動き回らず、隠れ場所から出ることも少ないようです。

 

 

集団生活

ゴキブリは、集団で隠れています。このように集団で生活する性質は、集合フェロモンと呼ばれる物質の影響によるものです。集合フェロモンは、ゴキブリの体の後ろの方にある分泌腺から分泌され、糞に混ざったり、体の表面に付着したりします。糞で汚れた隠れ場所は、このフェロモンがたくさん付着しているため、ゴキブリが集まりやすいのです。このフェロモンの効果は、同じ種類のゴキブリ同士の間で特に強く現れます。

ゴキブリを単独で飼育すると、他のゴキブリと一緒に飼育した場合と比べて、幼虫の期間が長くなることが実験で分かっています。これは、集団で生活することで、幼虫が早く成長できることを示唆しています。集合フェロモンが、ゴキブリの成長や繁殖にどのような影響を与えているのかについては、まだ詳しくわかっていません。

出典:日本ペストコントロール協会
チャバネゴキブリ:群生とローチスポット (厨房ステン作業台裏)
出典:日本ペストコントロール協会
チャバネゴキブリ:群生とローチスポット (厨房ステン作業台裏)

 

移動

  1. 自力での移動 蒸し暑い夜には、クロゴキブリなどが明かりに引き寄せられて飛んできたり、外壁や網戸にとまったり、室内に侵入したりすることがあります。屋内に住むゴキブリは、あまり遠くへ飛ぶことはできず、主に歩いて移動します。アメリカで行われた実験では、ワモンゴキブリに印をつけて下水道のマンホールに放すと、近くの住宅や下水道で再び捕まることが確認されました。最も遠くで捕まったゴキブリは、放した場所から350メートルも離れた場所で見つかりました。国内での調査でも、クロゴキブリが1週間で25メートル移動したり、部屋の中を2~4部屋ほど動き回ったりすることが報告されています。小型のチャバネゴキブリは、あまり遠くへ移動することができず、自分の隠れ場所の近くにとどまっていることが多いです。 ゴキブリは、通常は自分の隠れ場所を中心に活動していますが、数が多くなると、他の場所へ移動することがあります。

  2. 人によって運ばれる移動 ゴキブリは、自分自身の力だけでなく、人によって運ばれて広がることもあります。現代では物流が盛んになっているため、荷物や食品の中に隠れて、鉄道や飛行機、船などで遠くまで運ばれてしまうことがあります。 実際に、神戸港に停泊していた船の中や、羽田空港に到着した飛行機の中から、さまざまな種類のゴキブリが見つかっています。また、鉄道の車両内でも、ゴキブリの駆除が行われています。このように、ゴキブリは人によって世界中に広まっており、この問題を深刻に考える必要があります。

 

 

発育期間

ゴキブリの発育に最適な温度は、25度から30度です。この温度範囲で飼育すると、ゴキブリは絶えず繁殖を続けます。5種類のゴキブリを、25度から28度の一定の温度で飼育し、実験動物用の餌を定期的に与えて観察した結果、産まれた卵の数、幼虫が何回脱皮するのか、成長にどれくらいの時間がかかるのか、成虫がどれくらいの期間生きるのかといったデータを得ました。これらの結果を以下に示します。

 

 

ゴキブリの生活史の比較

 

大型の4種類のゴキブリの場合、1つの卵鞘に含まれる卵の数は12個から28個の範囲で、ワモンゴキブリとヤマトゴキブリが少なく、クロゴキブリとトビイロゴキブリはやや多いです。しかし、1匹のメスが一生の間に産む卵鞘の数は、ワモンゴキブリとヤマトゴキブリが最も多く、クロゴキブリとトビイロゴキブリは少ないです。これらの卵は、30日から60日で孵化します。

チャバネゴキブリの場合は、1つの卵鞘に平均で40個の卵が含まれ、卵から孵化するまでの期間も約20日と短いです。このように、ゴキブリの種類によって、一度に産む卵の数は様々ですが、1匹のメスが一生の間に産む卵の総数は、どの種類もおよそ200個から400個程度とそれほど変わりません。なお、メスは、最初の産卵からある程度産卵を繰り返すと、その後は産む卵の数が徐々に減っていきます。

 

幼虫

幼虫の成長期間は長く、その間に何度も脱皮を繰り返します。成長の速さは、温度や湿度、食べ物、飼育しているゴキブリの数などによって大きく影響され、成長にかかる日数や体の大きさ、脱皮の回数も変わってきます。大型のゴキブリの場合、成長期間は3ヶ月から6ヶ月、脱皮回数は8回から12回です。

 

成虫

成虫は、羽化してから1週間ほどで交尾を始め、10日から15日後には卵を産み始めます。成虫の寿命は、温度などの条件によって大きく左右されます。適温で十分な餌がある環境では、6ヶ月から17ヶ月も生きることもありますが、一般的に雌の方が雄よりも長生きします。

 

 

 

 

越冬と周年経過

 

 

越冬

チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリは、ビルや飲食店などに多く住みついています。一方、クロゴキブリとヤマトゴキブリは、一般家庭に多く見られます。このように、ゴキブリの種類によって住み分けているのは、一年を通しての温度環境、特に冬の過ごし方が大きく関わっています。

ビルや飲食店など、一年を通して温度が20℃以上に保たれているような暖かい場所に住んでいる3種類は、熱帯地方が原産で、寒い環境に適応する体を持っていないため、暖かい場所で冬を過ごします。そのため、冬でも活発に活動し、数を増やしていきます。

一方、クロゴキブリとヤマトゴキブリは、温帯地方が原産で、季節の変化がある環境に適応しています。そのため、春から秋にかけては活発に活動しますが、冬になると休眠して冬を越します。休眠は、日が短くなる秋に誘発されます。休眠中は、ほとんど動かずに物陰に隠れて、エネルギーをほとんど使わない状態で冬を過ごします。このように寒い環境にも耐えられる体を持っているため、冬でも温度が低い一般家庭でも生きることができます。

 

周年経過

クロゴキブリとヤマトゴキブリの生活のサイクルは似ていて、夏から秋にかけて交尾をして卵を産みます。そして孵化した幼虫は、秋に2回脱皮しますが、それ以上成長せずに冬眠に入ります。翌年の春になると活動を再開し、成長を続けますが、成虫になる直前にもう一度冬眠をします。そして、2回目の冬眠から覚めた幼虫は初夏になると羽化し、夏から秋にかけて数を増やし、メスは秋遅くまで卵を産み続けます。

初夏から夏に生まれた卵は、夏から秋にかけて孵化しますが、秋遅くに産まれた卵は孵化せずに冬を越し、翌年の春に孵化します。そのため、成虫になるまでには3年かかることがあります。このように成長に時間がかかるため、同じ場所で、生まれた年が違う様々な成長段階の幼虫と成虫が一緒に生活しているのをよく見かけます。

産卵から羽化まで2~3年かかるため、同じ種類の幼虫でも成長のスピードに差が出てきます。しかし、幼虫は冬眠する時に、同じ成長段階になるように調整されるため、初夏には多くの個体がほぼ同時に羽化します。このおかげで、繁殖がスムーズに行われ、種類が絶えることなく続いていくと考えられています。

 

 

増殖能力

 

ゴキブリは、他の昆虫と比べると成長に時間がかかるため、繁殖能力はハエや蚊ほど高くはありません。しかし、1年間に非常に多くの数に増えることができます。成虫の寿命が長く、その間に何度も卵を産むため、世代が重なり合い、正確な繁殖数を計算するのは難しいのですが、最も短い期間で世代交代をするチャバネゴキブリを例に計算してみましょう。

温度が28℃の環境では、卵から孵化するまで20日、幼虫の期間が1ヶ月から2ヶ月、メスとオスの数がほぼ同じで、成虫の寿命が3ヶ月から5ヶ月とすると、1世代は約半年で終わります。

この条件で、メスの成虫1匹が4ヶ月の間に5回卵を産み、1回の産卵で40個の卵を産むとします。そして、その卵の80%が成虫まで育つとすると、1世代で160匹のゴキブリが増えることになります。1年に2世代が繰り返され、その160匹のメスとオスが再び同じように卵を産むと、次の世代には12,800匹に増えることになります。この計算から、チャバネゴキブリは非常に高い増殖力を持っていることがわかります。

 

天敵

建物の中に住んでいるゴキブリは、自然の中にいる他の昆虫と比べて、寄生する生き物や捕食する生き物といった天敵が少なく、種類も限られています。日本では、寄生バチ、クモ、ネズミ、カエルなどがゴキブリの天敵として知られています。

寄生する天敵としては、ゴキブリコバチとゴキブリヤセバチという種類がいます。ゴキブリコバチは、体長が1.5ミリから2.0ミリととても小さなハチで、体は黒色で青みがかった光沢があります。このハチは、世界中の様々な種類のゴキブリに寄生する重要な天敵です。メスは、ゴキブリが産んだ卵が入っている卵鞘に卵を産み付けます。一度に20個から60個の卵を産み、ハチの幼虫は卵鞘の中で育ち、成虫になると卵鞘をかじって穴を開け、そこから出てきます。1972年から1973年に行われた静岡市での調査では、クロゴキブリの卵鞘にゴキブリコバチが寄生している割合が、48.5%から62.3%と非常に高いことが分かりました。しかし、他の場所での調査報告はほとんどないため、全国的にどのくらいの割合で寄生しているのかは分かっていません。もう一つの種類のゴキブリヤセバチについては、まだ詳しく研究されていません。

捕食する天敵としては、アシダカグモが挙げられます。アシダカグモは、体長が20ミリから30ミリ、足を広げると60ミリから80ミリにもなる大きなクモで、巣を作らずに歩き回ります。暖かい地域に多く生息し、古い木造の家や家畜小屋の天井などに隠れていて、夜になると部屋に出てきて、クロゴキブリなどを捕まえて食べます。ゴキブリの天敵ですが、灰色で大きなクモなので、多くの人はゴキブリよりも気持ち悪いと感じてしまうかもしれません。アシダカグモがゴキブリの数をどの程度減らしているのかについては、まだよく分かっていません。

チャバネゴキブリには、日本では特定の天敵は見つかっていません。

 

 

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